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岡山県備前市立西鶴山小学校様 インタビュー

岡山県備前市では、ICT環境を5年前から整備し、現在では1人に1台タブレットを貸与し、教室には無線環境を整えている。ICTのさらなる活用を目的とし2016年度に空き教室を「フューチャールーム」として、子供たちのアクティブラーニングのスイッチがONになることを目指した教室を各小中学校に整備。
フューチャールームは2017年4月から本格稼働し、備前市内すべての学校で「主体的・対話的な深い学び」の実践が始まっている。
『学び合い(※1)』を10年前から実践している、6年生担任の川西弘幸先生にフューチャールームでの授業の様子や校内での取り組みについてお話を伺った。

(※1)上越教育大学の西川純教授が提唱している授業法

「自分だけ分かればいい」、ではなく「皆が分かる」授業を目指すという意識が子供たちに

この日、フューチャールームでは、5、6年生の合同授業が行われていた。この教室の前と後ろにホワイトボードと移動式電子黒板があるので、違うクラスが同時に入って、1つのクラスは前で授業したり、もう1つのクラスは後ろで自習するという使い方も多いそうだ。5年生は、「割合の歩合」の単元で、6年生は「量の単位」だが、やっているところは、子供の進み具合によって違う。授業では、6年生は6年生でグループを作り、分からない子供がいたら、分かる子供が立って教えに行き、5年生の進み具合も6年生が見ながら、分からない5年生には6年生が自主的に教えている姿が見える。こうして子供たちが主体となって進める様子が川西先生の授業のスタイル。子供たちに課題を与え、子供たちは試行錯誤しながら進める。時に先生が「こうじゃないの、それはよくないんじゃないの」と修正をしながら子供たちは課題解決に近づくアプローチをしていき、先生がファシリテーターとなって授業を進めていく。同校で大切にしているのは、子供の横のつながりを重視した授業作り。6年生は『学び合い』を実践することで、上のステージに行かせることができるのではないかと川西先生は考える。「『学び合い』の授業では、学びの在り方を6年生が示し、その姿を5年生が見て参考にして授業する。今まで6年生は自分たちがクリアするということを念頭に置いて活動すれば良かった。ところが今度は一気に26人に増え、しかも学年や学習内容が違うということを踏まえ、6年生は自分たちの学習も進めながら、合同授業の進め方も考える、という一つ高い視点で見る必要があるんですよね。それを子供たちに求めることができるし、5年生、6年生のWin-Winの関係が望める。」と川西先生は語る。「『学び合い』の授業では、例えば今日の算数のように、算数だけの教科を学ぶだけでなく、タイムマネージメント、クラスの関わり、自分の学び、他の子の学びを通して人間性など、色々なことが学べる。知識だけでなく倫理性、社会性等、生き方を問える授業になっていくと思う。」と話してくれた。


分かる子が、立って分からない子の所に行って教えてあげる姿が色んな場所で見られる
分かる子が、立って分からない子の所に行って教えてあげる姿が色んな場所で見られる
主体的にノートを活用していて、アクティブなツールになっている
主体的にノートを活用していて、アクティブなツールになっている

友達に見せて説明することを考え、見やすいノートを取るように
友達に見せて説明することを考え、見やすいノートを取るように

「誰とどこに座るか」子供たちが主体的になって選択させることも課題解決への一部

 フューチャールームの机・イスの配置は、先生からの指示ではなく、すべての場面で子供たちが配置しやすいように自由に動かして使っているそうだ。学習するのは子供なので、子供が良いと思うやり方を選ばせているのだという。「あの形の机と椅子で有難いのは、子供たちが変えたいと思った時に自由に変えることができて、所属も決まっていないのでどこに座ってもいい、という取扱い方ができること。」と川西先生。
「普通教室の一番の欠点は一人一人の机が決まっていること。本人の持ち物ではないが1年間使うとなると自分の机椅子は自分のテリトリーになっており、他の人が勝手に座ることができにくいところがあるが、ここではそれがない。今日は誰と座ってもいい、どこに座ってもいい。6年生には『自分たちの課題を解決することを考えてね』と言ったら自分たちで考えて座る。」川西先生の授業では、座る場所選びの段階から、課題解決への道のりの一部になっているようだ。授業中は、先生が立つ場所も色々。指示を出すときは前、全体の様子を見るときは後ろへ。子供たちの視界から消えるイメージだという。そして横は表情が見たい時。「あの椅子の良い所は、フューチャールームでは子供たちが様々な位置に座っていますから、先生が『こっちを見て』と言った時に、どこにいても向きを変えて話を聞くことができること。教室の椅子だと横をみるのも難しいので、くるくる回る椅子は助かる。」「あの教室ならではの、机をパタッと折って、サッと動かして広いスペースを作り、イスだけに座って授業する、そういうレイアウトが比較的短時間にできるのは有難い。あれくらいのスペースを普通教室で作ろうとすると、机を外に出さなければならないが、外に持ち出さなくても広い空間を作れるのは大きい。」とフューチャールームならではのスペース活用法についても教えてくれた。


机の配置やグループ分けも、先生からの指示ではなく、すべての場面において子供たちが決めている
机の配置やグループ分けも、先生からの指示ではなく、すべての場面において子供たちが決めている
英語の授業でのフューチャールーム活用率は100%。フロアを広く活用する場面も。
英語の授業でのフューチャールーム活用率は100%。フロアを広く活用する場面も。

机は地元岡山県産の木材を使用した特注品。
机は地元岡山県産の木材を使用した特注品。

お話をしてくださった方



川西弘幸先生:校内では『学び合い』を取り入れている先生もいますが、何より良いのが「授業は座って、良い姿勢で受けなくてはいけないもの」という意識が教員の中でも薄れてきたことです。必要があれば動けばいいし、必ずしもグループを作らなくても、必要があれば立って動いていい、ということに理解して頂けるようになってきました。アクティブラーニング、「主体的・対話的で深い学び」が文部科学省から前面に出されたときに戸惑われている先生方は多いと思いますが、そういう意味で言いますと、このフューチャールームではその実践がしやすくなっていると思います。

平井守校長先生:本校では、「フューチャールーム」は、5、6年生は一日一回は必ず活用されています。勾玉型の机は、角がないので人数が多くなっても同じ様な感覚で使いやすいと思っています。レイアウトは基本的にはグループ型にされていますが、場面に応じて子供たちがレイアウト変更して活用しています。
本校で実践している『学び合い』の授業を通して責任感が出てきていて、「6年生だけができればいい」ではなく、「1年生までできるような学校を育てる」という意識が芽生えてきていると実感しています。休み時間には1年生から6年生まで一緒になって遊ぶことも多くなってきています。今は5、6年中心の活用ですが、今後は他の学年にも広がって行くと思っています。

(取材日:2018年1月18日)

School profile

岡山県備前市立西鶴山小学校

全7学級、全校生徒68名が在籍する。「豊かな心をもち,すこやかに,主体的に生きることのできる児童を育成する」を学校教育目標に掲げ、2017年4月から「主体的・対話的で深い学び」の実践に取り組んでいる。

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